「マンションは築何年でどれくらい下がるのか」。この問いに、築年帯の階段を一段ずつ降りる形で答えます。埼玉県の成約データから、隣り合う築年帯の㎡単価中央値を市区ごとに比べ、その下落率の中央値を出しました。
築年帯が一段進むごとの下落率
| 階段 | 下落率の中央値 | 集計市区数 |
|---|---|---|
| 築0-10年 → 築11-20年 | 約23%下落 | 34市区 |
| 築11-20年 → 築21-30年 | 約22%下落 | 35市区 |
| 築21-30年 → 築31年以上 | 約43%下落 | 36市区 |
通しで見ると、築31年以上の㎡単価は築0-10年に対して中央値で約68%低い水準です。
この階段には形があります。多くの市区で、最初の一段(築10年→20年)より、その先の段のほうが急です。「新築プレミアムが最初に剥げて、あとはなだらか」という通説と違い、実際の成約データでは20年目以降にも大きな段差が待っています。
なぜ後半の段差が大きいのか
いくつかの構造的な理由が考えられます。
買い手の資金調達の壁。築年数が上がるほど、住宅ローンの担保評価や借入期間で不利になる場面が増えます。買い手の裾野が狭くなることが、価格に直接響きます。
税制優遇の境目。住宅ローン控除は新耐震適合が要件とされており、旧耐震世代に近づくほど買い手が慎重になります。
修繕の不確実性。築20年を超えると、2回目の大規模修繕・積立金の値上げ・設備の一斉更新といった「これから掛かる費用」の不確実性が増し、買い手はそれを価格の引き算で織り込みます。
この階段を「自分の物件の未来」として読む
このデータの使い方は2つあります。
買うとき: いま検討している物件が10年後・20年後にどの段にいるかを見ます。たとえば築8年の物件は、10年住むと「築11-20年→21-30年」の段差を降りることになります。購入価格から段差ぶんを引いた金額が、ざっくりとした将来の売却水準です。エリアによって段差の大きさはまったく違うため、必ずその市区のページで確認してください。
売るとき: 自分の物件が段差の直前にいるなら、それは売却タイミングの材料になります。築19年と築21年は2年しか違いませんが、買い手から見える「帯」が変わります。売り時の3基準に、この帯の視点を加えてください。
注意: 同じ物件が下がる率とは厳密には違う
この集計は「いま市場に出ている別々の物件」の横断比較であって、特定の物件を10年追跡したものではありません。建物のグレードや立地の構成が築年帯ごとに違うため、実際の個別物件の下落率はこれよりゆるやかなことも急なこともあります。方向と規模感をつかむためのデータとして使ってください。
まとめ
- 築年帯の段差は「最初が急であとはなだらか」ではなく、後半にも大きな段がある
- 通しでは築31年以上は築0-10年比で約68%低い(市区中央値)
- 段差の大きさはエリア次第。自分の市区の階段を確認してから判断する
集計対象: 埼玉県38市区・2021年以降の成約価格情報(中古マンション等)。各階段は両帯とも取引5件以上の市区のみで算出。集計方法は各エリアページに記載しています。
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