「6年後の価格」から逆算する家の買い方。出口設計の核になる考え方

本サイトの名前である「出口設計」の中心には、買う時点で6年後の売却価格を見積もっておくという一つの習慣があります。なぜ10年でも3年でもなく6年なのか。そして具体的にどう見積もるのか。この記事はその核を説明します。

なぜ「6年」なのか: 3つの根拠

根拠1: 税金の境界線が5年超(実質6年目)にある

不動産を売った利益にかかる譲渡所得税は、所有期間5年以下の「短期」と5年超の「長期」で税率が約2倍違います。そして所有期間は売った年の1月1日時点で数えるため、実質的に安全圏に入るのは購入から6年目以降です(5年の壁の詳細)。つまり6年は、「売っても税で損をしにくくなる最初の年」です。

根拠2: 人生の前提は5〜7年で変わる

転職、子どもの誕生と進学、親の介護、離婚や再婚。住まいの前提条件は、統計を持ち出すまでもなく数年単位で変わります。「終の棲家のつもり」で買っても、6年後に同じ前提で住んでいる保証はありません。6年後を見積もるのは、悲観ではなく変化を織り込んだ現実的な設計です。

根拠3: 築年帯の段差

本サイトの成約データ集計では、マンション価格は築年帯(0-10年、11-20年…)の段差で下がっていきます(築10年でいくら下がるか)。6年は、多くの物件が次の築年帯へ移る途中か直前の時間です。買った瞬間の帯と、売る頃の帯を意識するだけで、値下がりの見積もりは大きく現実に近づきます。

6年後価格の見積もり手順

精密な予測は誰にもできませんが、桁を外さない見積もりは誰でもできます。

  1. 検討物件の市区のエリアページを開くエリア一覧
  2. 物件の現在の築年帯と、6年後の築年帯の㎡単価中央値を見る。たとえば築8年の物件なら「0-10年」と「11-20年」の中央値です
  3. 6年後の帯の㎡単価 × 専有面積 = 6年後の売却価格の目安
  4. そこから売却の諸費用(およそ4%)を引き、6年後のローン残高(返済予定表で分かります)と比べる

手順4の比較結果が、この購入の「出口の健全性」です。

この見積もりが購入判断をどう変えるか

同じ4,000万円の物件でも、6年後に3,600万円で売れそうな物件と2,800万円の物件では、実質的な住居コストがまったく違います。前者の6年間の値下がりは400万円(月5.6万円相当)、後者は1,200万円(月16.7万円相当)。表面の価格ではなく、この「値下がり+金利+維持費」の合計が、持ち家の本当の家賃です。

この視点を持つと、「新築か中古か」「どのエリアか」という問いが、「どちらの本当の家賃が安いか」という比較可能な問いに変わります(築浅プレミアムの検証値持ちの良い市区)。

6年後に売らなくてもいい

誤解のないように。出口設計は「6年で売れ」という主張ではありません。売れる状態を保ちながら住むことと、売れない状態で住み続けるしかないことの間には、同じ家に住んでいても大きな差があります。前者は選択肢を持った暮らし、後者は選択肢のない暮らしです。6年後価格の見積もりは、その選択肢を買う作業です。

まとめ

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