「持ち家はローンを払い終われば住居費がタダ」という言い方がありますが、実際にはマンションは持っているだけで毎年数十万円が出ていきます。この金額を正確に数えられると、売り時の判断・空室で放置する損・賃貸との比較が、すべて具体的な計算になります。項目を全部数えてみます。
毎月出ていくもの
管理費: 共用部の維持・管理会社への委託費。60㎡クラスで月1万〜1.5万円程度が中心帯です。
修繕積立金: 大規模修繕の原資。月1万〜2万円程度が中心帯ですが、築年が進むほど段階的に上がる設計が一般的で、タワーや機械式駐車場つきはさらに重くなります。国交省のガイドラインでは㎡あたり月200〜330円前後が目安とされており、60㎡なら月1.2万〜2万円に相当します。
この2つだけで月2万〜3.5万円、年24万〜42万円。保有コストの主役です。買い手の立場ではこの合計が「高いと売れにくい」水準かどうかが論点になり、月3万円を超えるあたりから売却時の逆風が強まる、というのが実務の相場観です(管理費が高い部屋は売れるかの詳細)。
毎年出ていくもの
固定資産税・都市計画税: 物件の評価額次第ですが、郊外〜準都市部の60㎡クラスで年8万〜15万円程度がよくある水準です。納税通知書で正確な額が分かります。
火災保険・地震保険: 年1万〜3万円程度(補償内容次第)。
見落とされがちな2つ
ローンの利息部分: 返済額のうち元金は資産の積み上げですが、利息は純粋なコストです。残高3,000万円・金利0.6%なら年18万円、1.5%なら年45万円。金利が上がるほど保有コストは静かに膨らみます(変動金利が上がったら)。
専有部の修繕引当: 給湯器(15年前後で交換、十数万〜数十万円)、エアコン、水回り設備。年平均に均すと年5万〜10万円の引当てが現実的です。積立金と違って請求書が来ないため、数え忘れられます。
合計: 標準ケースの年額
60㎡・残債あり・標準的な管理費水準のケースを積み上げると:
| 項目 | 年額の目安 |
|---|---|
| 管理費+修繕積立金 | 30万円 |
| 固定資産税等 | 10万円 |
| 保険 | 2万円 |
| ローン利息(残高3,000万・0.6%) | 18万円 |
| 専有部修繕引当 | 6万円 |
| 合計 | 約66万円(月5.5万円) |
住んでいなくても、ローンの元金が1円も減らなくても、年66万円。これがこのケースの「持っているだけのコスト」です。あなたの物件でも、納税通知書と返済予定表があれば10分で同じ表が作れます。
この数字の使いみち
売却の迷いに期限を与える: 「もう少し高く売れるまで待つ」の1年は、このケースでは66万円の入場料を払う待機です。期待する上振れ額と比べてください(値下げ判断にも同じ計算が効きます)。
空き家の放置損を測る: 相続した部屋を「とりあえずそのまま」にする判断は、年間◯十万円の支出を選ぶ判断と同じです(空き家放置のコスト)。
貸す場合の損益分岐: 想定家賃からこの保有コスト(+賃貸管理料・空室損)を引いたものが実際の手残りです(貸した場合の利回り計算)。
まとめ
- 標準的な60㎡クラスで保有コストは年60万〜70万円規模になり得る
- 主役は管理費+積立金。利息と専有部引当が数え忘れの定番
- 納税通知書と返済予定表で、自分の物件の年額を10分で出せる
- 「待つ」「放置する」「貸す」の判断すべてに、この年額が基準線になる
保存版チェックリストと売り時アラートはLINE友だち追加でお渡ししています。