築40年のマンションは売れるか。取引データが示す「売れている現実」と価格

「築40年のマンションなんて売れない」という声は根強くあります。しかし国土交通省の成約データを集計すると、実態は逆です。埼玉県の主要38市区で成立した中古マンション取引22,408件のうち、築31年以上の物件が8,365件、全体の約37%を占めています。築古マンションは、市場で普通に売買されています。

「売れない」のではなく「高くは売れない」

問題を正しく分けると、築40年で行き詰まる原因のほとんどは「買い手がいない」ことではなく、価格設定が実勢に合っていないことです。

築31年以上の㎡単価の中央値は、市区によって大きく違います。取引の多い順ではなく「築31年以上が取引に占める割合」が高い順に並べると、築古が市場の主役になっているエリアが見えてきます。

市区築31年以上の割合件数㎡単価の中央値55㎡なら
狭山市79%441件8.3万円/㎡約458万円
入間市66%346件10.6万円/㎡約583万円
北本市62%92件11.2万円/㎡約618万円
春日部市61%303件11.7万円/㎡約644万円
鶴ケ島市61%125件11.5万円/㎡約631万円
久喜市60%181件13.7万円/㎡約753万円
坂戸市58%169件10万円/㎡約550万円
さいたま市西区58%131件9万円/㎡約495万円
蓮田市57%35件15万円/㎡約825万円
三郷市56%498件14.1万円/㎡約776万円

この表の市区では、売りに出る物件の半分前後が築31年以上です。買い手もそれを前提に探しているため、価格さえ実勢に沿っていれば取引は成立します

築40年で価格を左右する3つの論点

同じ築40年でも成約価格には幅があります。データに表れない差を生むのは、主に次の3点です。

新耐震かどうか(1981年6月が境目)

築40年前後は、ちょうど旧耐震と新耐震の境界世代にあたります。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物なら新耐震で、買い手の住宅ローンや税制優遇の面で不利になりにくくなります。判定は竣工年ではなく建築確認日で行われる点に注意してください。境界前後の物件は、確認済証や台帳記載事項証明で確かめる価値があります。詳しくは旧耐震マンションの注意点にまとめています。

修繕積立金の残高と大規模修繕の履歴

築40年は大規模修繕を2〜3回経ているはずの時期です。修繕が計画どおり実施され、積立金の残高があるマンションと、修繕が先送りされ積立不足のマンションでは、買い手のリスクがまったく違います。売り出す前に、管理組合の総会資料と長期修繕計画を手元に揃えておくと、内見時の質問に答えられます。

管理形態

管理会社への全部委託か自主管理か。自主管理は管理費が安い一方、買い手の住宅ローン審査や将来の売りやすさの面で敬遠されることがあります。

売り出し価格の決め方

築40年の物件で「とりあえず高めに出して様子を見る」戦略は、築浅より不利に働きやすいと考えられます。買い手が価格に敏感な層に寄るため、相場超えの物件は検討対象から早々に外れ、滞留期間だけが伸びていきます。滞留が長引くと「何かある物件」という印象がつき、結局は値下げ幅が大きくなります。

まずお住まいの市区の成約データで築31年以上の中央値を確認し、そこを基準に物件の個別条件(駅距離・階数・修繕状態)で上下を調整する順序が堅実です。

まとめ

手残りの計算はマンション売却の諸費用、売り時の考え方は売り時を判断する3つの基準を参照してください。


集計対象: 埼玉県38市区・2021年以降の成約価格情報(中古マンション等)。集計方法は各エリアページに記載しています。

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