築30年を超えたマンションについて「もう資産価値がない」と言われることがあります。実際の成約データを見ると、価格が大きく下がっているのは事実です。ただし下がり方はエリアによって3.6倍の開きがあり、「築30年だからいくら」と一律に語れるものではありません。国土交通省が公開する成約データを自前で集計して確認します。
築古の価格水準は、市区によって3.6倍の差がある
埼玉県内で取引数が十分にある35市区について、築31年以上の㎡単価が築0-10年の何%にあたるかを集計しました。
| 中央値 | 築0-10年の32% |
|---|---|
| 最も高い市区 | 61%(戸田市) |
| 最も低い市区 | 17%(狭山市・さいたま市西区・鴻巣市) |
同じ「築31年以上」でも、新しい物件に対する価格の残り方が17%から61%まで、3.6倍の幅で分かれています。築年数という同じ条件が、エリアによってまったく違う結果になっているということです。
参考までに築21-30年帯では中央値が57%(34〜78%)で、こちらも同様に幅があります。
なぜエリアでこれほど違うのか
築古物件の価格は、建物の古さそのものよりもその土地に需要が残っているかで決まる部分が大きいためだと考えられます。
都心へのアクセスが良く、賃貸・実需の両方で需要が続いているエリアでは、築年数が上がっても買い手が付きやすく、価格の下支えが働きます。一方、駅からの距離がある住宅地や、供給時期が特定の時代に偏っているエリアでは、築古物件が買い手を見つけにくく、価格が大きく下がる傾向が出ます。
つまり築30年という年数は、価格を決める一つの要素ではあっても主役ではないということです。
「築30年で売れない」わけではない
取引件数を見ると、築31年以上の成約は決して少なくありません。市区によっては全取引の半数以上を築31年以上が占めています。築古物件は現実に売買されており、買い手はいます。
問題は「売れるかどうか」ではなく「いくらで売れるか」です。ここを取り違えると、相場を大きく超えた価格で売り出して長期間反応がなく、結果として値下げを重ねることになります。
自分の物件がどのあたりかを確認する方法
- 物件の㎡単価を出します(想定価格 ÷ 専有面積)
- エリア別の成約相場で該当する市区のページを開きます
- 築31年以上の中央値、および同じ地区の中央値と比べます
全国平均や「築30年の相場」といった一般論ではなく、自分の物件がある市区・地区の数字で見てください。上で見たとおり、エリアが変われば水準そのものが変わります。
築30年前後で確認しておきたい3点
修繕積立金の残高と大規模修繕の履歴
築30年前後は2回目の大規模修繕の時期にあたることが多く、積立金の残高が不足していると一時金の徴収や積立金の値上げが起こり得ます。買主はこの点を見るため、価格に影響します。
新耐震基準への適合
1981年6月以降の建築確認であれば新耐震基準に該当します。買主の住宅ローン控除など税制優遇の要件にも関わるため、該当するかどうかで買い手の広さが変わります。竣工年ではなく建築確認日で判定される点に注意してください。詳しくは旧耐震マンションの注意点にまとめています。
管理組合が機能しているか
総会が開かれているか、管理費や修繕積立金の滞納がどの程度あるか、管理会社に委託しているか自主管理か。築年数が上がるほど、この差が価格に出ます。
まとめ
- 築31年以上の価格水準は、築0-10年比で中央値32%
- ただしエリアによって17%〜61%と3.6倍の開きがあり、一律には語れない
- 築古物件も現実に売買されている。論点は「売れるか」ではなく「いくらで売れるか」
- 修繕積立金・新耐震・管理状態の3点が、同じ築年数の中での差を生む
まずは自分の市区の成約データで位置を確認してから、売却価格の見当をつけるのが確実です。手残りの計算はマンション売却の諸費用を併せてご覧ください。
集計対象: 埼玉県内35市区(取引数が十分で、築0-10年の中央値が算出できた市区)、2021年以降の成約価格情報。集計方法は各エリアページに記載しています。
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