団信はどこまで手厚くすべきか。がん団信・疾病保障の上乗せ金利に見合う条件

住宅ローンを組むとき、金利の比較には熱心でも団信の中身は流れで決めてしまう方が少なくありません。しかし団信は数千万円の保障が数十年続く生命保険です。上乗せオプションの選択は、金利0.1〜0.3%という形で総返済額に直結します。保険として冷静に値踏みする視点を整理します。

基本の団信: 死亡・高度障害はほぼ標準装備

団信は、債務者が死亡または所定の高度障害になったときにローン残高がゼロになる保険です。民間銀行のローンでは加入が原則必須で、保険料は金利に含まれています(フラット35は任意加入)。

まず押さえたいのは、基本の団信だけでも「遺族に家が残る」という最大の保障は確保されていることです。上乗せの議論は、この土台の上に「死なない病気」への備えをどこまで足すか、という話になります。

上乗せオプションの整理

代表的な区分です(名称・条件は金融機関で異なります)。

がん団信(がん50%・がん100%): がんと診断確定されたら残高の50%または100%が消える。上乗せ金利は無料〜0.2%程度の幅で、「診断確定のみ」で支払われるタイプは条件がシンプルで使いやすいとされています。

三大疾病保障: がん・急性心筋梗塞・脳卒中。ただし心筋梗塞・脳卒中は「所定の状態が60日以上継続」など支払条件が厳しめのことが多く、パンフレットの印象ほど広くは支払われない可能性を織り込む必要があります。

全疾病・就業不能保障: 病気やケガで働けない状態が一定期間続くと月々の返済が免除され、長期化すると残高がゼロになるタイプ。免責期間と「就業不能」の定義が金融機関ごとに大きく違います。

値踏みの方法: 上乗せ金利を保険料に換算する

上乗せ金利0.2%は、借入3,000万円の当初期間でおおむね月5,000円前後の負担に相当します(残高逓減で徐々に減ります)。この金額を「民間のがん保険・就業不能保険に月5,000円払う」のと比べるのが、値踏みの基本形です。

比較のポイントは3つあります。

  1. 保障額の形: 団信の保障はローン残高と一緒に減っていきます。残高が減った後半は、払っている上乗せ金利に対して保障が薄くなる構造です
  2. 既加入の保険との重複: すでに収入保障保険や医療保険に入っているなら、団信の上乗せは重複になりがちです。住宅購入は保険全体を棚卸しするタイミングとして最適です
  3. 健康状態と年齢: 団信の上乗せは健康なうちしか選べません。持病があると通常団信すら通らないことがあり、その場合はワイド団信(引受条件緩和型・金利上乗せ)やフラット35という迂回路があります

ペアローン・収入合算の場合の注意

夫婦で借りる場合、団信はそれぞれの債務にしか掛かりません。片方が亡くなっても、もう片方のローンは残ります。この構造的な弱点と対策(連生団信を含む)はペアローンのリスクで詳しく扱っています。

借り換え時は「団信の入り直し」になる

見落としやすい点として、借り換えでは団信も新規加入になります。年齢が上がり健康状態が変わっていれば、いまの団信より条件が悪くなる、あるいは通らない可能性があります。金利差だけで借り換えを判断せず、団信の継続性も比較表に入れてください。

まとめ

個別の商品選択は、約款の支払条件を確認のうえ、必要ならFPや保険の専門家に相談することをおすすめします。

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