「事前審査に通ったから大丈夫」と考えて売買契約を進め、本審査で否決されて慌てる。住宅購入のトラブルの定番です。2つの審査は見ているものが違うため、片方の通過がもう片方を保証しません。違いを構造から整理します。
事前審査: 「人」をざっくり見る
事前審査(仮審査)は、購入申込みの前後に行う簡易審査です。年収・勤務先・勤続年数・他の借入・信用情報といった申込者本人の返済能力を、自己申告ベースの情報中心に数日で判定します。
ここで落ちる典型的な理由は次のとおりです。
- 返済負担率オーバー: 希望借入額が収入に対して大きすぎる(年収と借入額の関係)
- 信用情報の傷: クレジットカードや携帯端末代の延滞履歴、過去の債務整理
- 他の借入: 自動車ローン・リボ払い・奨学金が負担率を圧迫
- 属性の壁: 転職直後、勤続年数が短い、収入が不安定と判定される働き方
対処はシンプルで、借入額を下げる・他の借入を返す・時期を待つ、のいずれかです。信用情報は自分で開示請求できます(CIC・JICC等)。心当たりがあるなら、申し込む前に自分で確認しておくと、原因不明の否決に悩まずに済みます。
本審査: 「人」を厳密に+「物件」と「健康」を見る
売買契約後に行う本審査では、3つの要素が加わります。
書類による裏取り。事前審査の自己申告が、源泉徴収票・住民税決定通知書・在籍確認などで検証されます。申告内容と書類の食い違いは、たとえ悪意がなくても心証を大きく損ねます。
物件の担保評価。金融機関は貸したお金が返らない場合に物件を売って回収するため、物件そのものを評価します。再建築不可、借地権、旧耐震、面積が小さすぎる物件などは、人に問題がなくても物件side で減額・否決があり得ます。中古物件では特に効いてくる要素です。
団信の健康審査。民間ローンは団信加入が必須のため、健康告知で引っかかると本審査全体が否決になります。持病がある場合はワイド団信や、団信任意のフラット35という選択肢があります(団信の選び方)。
「事前通過→本審査で落ちる」の典型パターン
- 事前審査の後に新しい借入をした(自動車ローン、家具家電の分割払い)
- 事前審査の後に転職した
- 健康告知で申告すべき事項があった
- 物件の担保評価が伸びなかった
- 事前審査と本審査で別の金融機関を使い、審査基準が違った
要するに、事前審査通過から本審査完了までは「現状凍結」が原則です。大きな買い物・借入・転職は、引き渡しが終わるまで待つのが安全です。
売買契約の安全弁: ローン特約
本審査の否決に備えて、売買契約には通常住宅ローン特約(融資が否決された場合に契約を白紙解除でき、手付金が返る条項)を付けます。特約の期日・対象となる金融機関・借入条件が契約書にどう書かれているかは、契約前に必ず確認してください。特約の範囲外の理由で解除すると手付放棄になり得ます。
審査を有利に進める準備
- 信用情報の自己開示(傷の有無を先に知る)
- 他の借入の整理(完済できるものは事前審査前に)
- 直近の源泉徴収票・課税証明書を揃えておく
- 事前審査は2〜3行に並行して出す(基準は行ごとに違うため。なお同時期の複数申込は一般的な実務です)
まとめ
- 事前審査は「人」の簡易判定、本審査は「人の裏取り+物件+健康」
- 事前通過後は現状凍結。新規借入・転職は引き渡しまで待つ
- 中古は物件の担保評価という独立の関門がある
- ローン特約の条件を契約前に確認する
審査後の金利タイプ選びは変動と固定、審査に出す前の予算組みは借りられる額と返せる額を参照してください。
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