「3ヶ月は市場で高値を追い、売れなければ当社が買い取ります」。買取保証(売却保証)は、住み替えなどで期日を外せない売却にとって魅力的な保険に見えます。実際、正しく使えば有効な仕組みです。ただし保険である以上、保険料に相当するものがどこかに隠れています。構造から確認します。
仕組み: 仲介+期限付き買取予約
買取保証は、通常の仲介(市場で買い手を探す)に、「期間内に売れなかった場合は、事前に合意した価格で不動産会社が買い取る」という約束を付けた契約です。売り手から見れば、最悪ケースの金額と期日が最初から確定するのが最大の価値です。
- 期間内に市場で売れれば: 通常の仲介と同じ(仲介手数料が発生)
- 売れなければ: 保証価格で会社が買い取り(このときは仲介でないため手数料は通常発生しません)
保証価格の相場観
保証価格は市場価格の7〜9割程度に設定されるのが一般的とされています。会社は買い取った後にリフォームして転売するため、転売益と リスクの分が差し引かれる構造です(単純な買取と同じ理屈です)。
まず市区の成約データで市場価格の見当をつけ、提示された保証価格が何割にあたるかを計算してください。8割を大きく下回る保証価格なら、その「保険料」は高すぎる可能性があります。
構造的な注意点: 仲介を頑張らない誘因
買取保証には利益相反が組み込まれています。会社にとって、期間内に仲介で売れれば手数料(成約価格の3%+6万円が上限)、保証発動で買い取れば転売益(数百万円になり得る)。後者のほうが大きい場合、仲介活動に力が入らない誘因が生まれます。
疑いすぎる必要はありませんが、自衛は可能です。
- レインズ登録証明書と反響報告を通常の仲介と同じ水準で要求する(囲い込みの見分け方と同じ確認です)
- 保証期間中の売り出し価格の決定権が自分にあることを契約で確認する(保証発動を狙って高値放置される形を防ぐ)
契約前に書面で確認する5点
- 保証価格と、その根拠(査定書)
- 保証期間と、期間中の価格変更のルール
- 保証の発動条件・失効条件: 「内見を◯回以上受け入れること」等の条件付きや、途中解約時の扱い
- 買取時の契約不適合責任の扱い: 買取では免責になることが多い点はメリットなので、明文化されているか
- 引き渡し時期と残置物の扱い
口頭の「大丈夫です」は契約条件ではありません。この5点が書面にない買取保証は、保証として機能しない可能性があります。
向いているケース・向かないケース
向いている: 住み替えの決済期日が確定している/流動性の薄い市区で売却期間が読めない/最悪ケースを固定して新居の資金計画を立てたい
向かない: 期日の制約がなく、時間をかけて高値を狙える売却。この場合、保証は使わない保険にお金(保証価格の割引という形の潜在コスト)を払うことになりがちです。通常の仲介で始めて、必要になった時点で早く売る選択肢を検討しても遅くありません。
まとめ
- 買取保証は「最悪ケースの金額と期日の確定」を買う保険
- 保証価格は市場の7〜9割。何割かを成約データで自分で計算する
- 仲介が緩む利益相反があるため、レインズ登録と反響報告で自衛する
- 発動条件・失効条件まで書面で確認してから契約する
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