不動産を売って利益(譲渡所得)が出たとき、その税率は所有期間が5年を超えているかどうかで大きく変わるとされています。同じ利益額でも税額が倍近く違うため、売る時期を考えるうえで無視できない境目です。ここではその仕組みと、勘違いしやすい起算日の数え方を整理します。税額の最終判断は税理士や税務署に確認してください。
短期譲渡と長期譲渡で税率が変わる
所有期間5年以下の売却は「短期譲渡所得」、5年を超える売却は「長期譲渡所得」として扱われ、それぞれ税率が異なります。一般に短期は合計39.63%程度、長期は合計20.315%程度(いずれも所得税・復興特別所得税・住民税の合計)とされています。
利益が500万円出た場合、短期なら約198万円、長期なら約102万円という差になります。売る時期が数ヶ月ずれるだけで、この差が生じ得ます。
起算日は「売った年の1月1日時点」で数える
ここが最も間違えやすい点です。所有期間は引き渡した日ではなく、売却した年の1月1日時点で5年を超えているかで判定するとされています。
たとえば2021年6月に購入した物件を2026年8月に売った場合、暦の上では5年2ヶ月保有していますが、判定は「2026年1月1日時点で何年か」で行われます。この時点では4年7ヶ月なので、短期譲渡として扱われることになります。この物件が長期譲渡になるのは2027年1月1日以降の売却です。
実質的に、5年ではなく「5年半から6年」と考えておくほうが安全です。 「出口設計」で購入時から売却時期を逆算しておく意味は、こうした制度上の段差を踏まないためでもあります。
居住用なら3,000万円の特別控除がある
自分が住んでいた家を売る場合、要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があるとされています。この控除で利益がゼロになれば、短期・長期にかかわらず譲渡所得税はかかりません。
つまり「5年の壁」が効いてくるのは、控除を使ってもなお利益が残る場合や、控除の要件を満たさない場合です。賃貸に出していた期間があるケース、住まなくなってから時間が経っているケース、そもそも投資用として買ったケースなどが該当し得ます。要件は細かいため、自分が対象になるかは必ず個別に確認してください。
10年超の所有ならさらに軽減される場合がある
居住用財産を10年を超えて所有していた場合、一定の要件のもとで長期譲渡よりさらに低い税率が適用される軽減措置があるとされています。3,000万円特別控除と併用できる場合もあります。長く住んだ家ほど、税制上は有利に扱われやすい設計になっています。
まとめ
- 税率が変わる境目は所有期間5年
- ただし起算は「売る年の1月1日」なので、実質は5年半〜6年
- 居住用の3,000万円特別控除で利益が消えるなら、この境目は影響しないことが多い
- 10年超ならさらに軽減される場合がある
売却時期を決めるときは、価格の見通しだけでなくこの段差も併せて見ておくと判断がぶれにくくなります。価格側の材料としては、エリア別の成約相場で同じ地域・同じ築年帯の実際の成立価格を確認できます。手残りの試算はマンション売却の諸費用と併せてご覧ください。
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