住むエリアを考えるとき、「都内にこだわるか、1本川を渡るか」は多くの人が一度は通る分岐です。ではその境界線には、実際いくらの価格差があるのか。都県境で隣り合う8ペアについて、国土交通省の成約データを築21-30年にそろえて比較しました。築年帯を固定するのは、エリアごとに築古比率が違うと全体の中央値がフェアな比較にならないためです。
都県境8ペアの比較(築21-30年の㎡単価)
| 境界 | 埼玉・千葉・神奈川側 | 東京側 | 東京側との差 |
|---|---|---|---|
| 荒川 | 川口市 48万円/㎡ | 北区 73.1万円/㎡ | +52% |
| 荒川 | 戸田市 45万円/㎡ | 板橋区 66.3万円/㎡ | +47% |
| 陸続き | 和光市 43.1万円/㎡ | 板橋区 66.3万円/㎡ | +54% |
| 江戸川 | 市川市 51.2万円/㎡ | 江戸川区 55万円/㎡ | +7% |
| 江戸川 | 松戸市 30万円/㎡ | 葛飾区 49.4万円/㎡ | +65% |
| 多摩川 | 川崎市川崎区 50万円/㎡ | 大田区 76.9万円/㎡ | +54% |
| 多摩川 | 川崎市幸区 66.9万円/㎡ | 大田区 76.9万円/㎡ | +15% |
| 多摩川 | 川崎市中原区 70万円/㎡ | 大田区 76.9万円/㎡ | +10% |
同じ「都県境」でも、差の開き方はまったく均一ではありません。最大は松戸市と葛飾区の65%。一方で市川市と江戸川区の差は7%にとどまります。
5割変わる境界
松戸市側から見ると、川を1本はさんだだけで同じ築年帯の㎡単価が大きく変わります。60㎡に換算すると、松戸市の約1,800万円に対して葛飾区は約2,962万円。生活圏としては連続しているのに、住所が変わるだけでこの差です。
この差の中身は「東京アドレス」だけではありません。東京側は都心までの距離が一段近く、再開発や新築供給で相場全体が引き上げられてきた経緯があります。それでも、通勤時間が数分伸びることと引き換えにこの差額を丸ごと回避できるなら、境界の外側は有力な選択肢です。川口市を含む京浜東北線沿線の比較は川口・蕨・戸田の相場比較で詳しく扱っています。
ほとんど変わらない境界
逆に、市川市と江戸川区のように境界の価格差がひと桁%まで縮んでいるペアもあります。市川や武蔵小杉周辺のように、県側のターミナル駅が独自のブランドと利便性を確立しているエリアでは、「都内かどうか」はもう価格の主変数ではなくなっています。
このタイプの境界では、県側を選んでも価格メリットはほとんどありません。選ぶ理由は価格ではなく、街そのものの好みや路線の使い勝手になります。
買う人・売る人それぞれへの意味
- 買う人: 差が大きい境界では、外側を選ぶことが最大級の割引になります。差が小さい境界では、割引はすでに消えているので価格以外で選んでください
- 売る人(県側): 自分のエリアと東京側の差が小さいなら、査定や値付けの際に「隣の区の相場」を比較材料として持ち出す余地があります。差が大きいエリアでは逆に、東京側の相場を根拠にした強気の値付けは通りにくいと考えるべきです
- どちらの場合も: この表は築21-30年だけの比較です。検討中の物件の築年帯に合わせて、各エリアページで同じ比較をやり直してください
まとめ
- 都県境の価格差は一律ではなく、5割超の境界からひと桁%の境界まで幅がある
- 差が大きい境界は「外側を買う」が最大の割引、差が小さい境界は価格以外で選ぶ
- 比較は必ず同じ築年帯で行う。全体の中央値どうしの比較は築年構成の差に引きずられる
集計対象: 一都三県の該当8ペア・2021年以降の成約価格情報(中古マンション等)。築21-30年の㎡単価は各30件以上の市区のみ掲載しています。集計方法は各エリアページに記載しています。
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