「マンション価格の高騰」というニュースは、都心のタワーマンションの話として語られがちです。では埼玉の、普通の中古マンションはどうだったのか。38市区の成約データで、2021年から直近年までの㎡単価中央値の変化を集計しました。
全体像: 上昇が多数派、ただし二極化
集計できた38市区のうち、29市区が上昇、8市区が下落。変化率の中央値は+9%でした。「埼玉全体が一様に高騰した」わけではなく、上げた街と下げた街がはっきり分かれています。
上昇率の上位:
| 市区 | 2021年 | 2025年 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| さいたま市岩槻区 | 14.6万円/㎡ | 34.2万円/㎡ | +134% |
| 鶴ケ島市 | 11.9万円/㎡ | 19.3万円/㎡ | +62% |
| さいたま市大宮区 | 55万円/㎡ | 84.6万円/㎡ | +54% |
| 上尾市 | 26.7万円/㎡ | 34.5万円/㎡ | +29% |
| さいたま市浦和区 | 61.2万円/㎡ | 77.3万円/㎡ | +26% |
| さいたま市北区 | 30.7万円/㎡ | 37.1万円/㎡ | +21% |
| さいたま市緑区 | 33.3万円/㎡ | 40.1万円/㎡ | +20% |
| 鴻巣市 | 14.8万円/㎡ | 17.5万円/㎡ | +18% |
下落した市区:
| 市区 | 2021年 | 2025年 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 入間市 | 14.7万円/㎡ | 14.3万円/㎡ | -3% |
| 所沢市 | 33.3万円/㎡ | 31.8万円/㎡ | -5% |
| 坂戸市 | 15.5万円/㎡ | 14.5万円/㎡ | -7% |
| 狭山市 | 10.3万円/㎡ | 9.4万円/㎡ | -9% |
| 久喜市 | 17.5万円/㎡ | 15.9万円/㎡ | -9% |
| さいたま市西区 | 15.7万円/㎡ | 13.6万円/㎡ | -13% |
| 八潮市 | 34万円/㎡ | 28.8万円/㎡ | -15% |
| 吉川市 | 35.9万円/㎡ | 28.4万円/㎡ | -21% |
「+100%超」のような数字をそのまま信じない
上位には、にわかに信じがたい上昇率が並ぶことがあります。これは実勢が2倍になったという意味とは限りません。年次の中央値はその年に売れた物件の顔ぶれで決まるため、取引数が少ない市区で、ある年に築浅・駅近の物件が偏って売れると、中央値は大きく跳ねます。
実際、本サイトの集計でも過去に、ある地区の単年急騰の主因が「その年だけ築古の取引が1件も無かったこと」だった例があります。単年の変化率は仮説、複数年の傾向が本命という順番で読んでください。各エリアページには年ごとの取引件数を併記しているので、件数が薄い年の数字は割り引いて見られます。
上げ相場の埼玉で、買い手と売り手それぞれの含意
買い手へ: 上昇の大きい市区は「もう高い」とも「需要が実証されている」とも読めます。少なくとも、上昇率上位の市区で「掘り出し物」を期待するのは分の悪い賭けです。むしろ二極化の境目、つまり都心アクセスが同等なのに上昇が緩い市区に、相対的な割安が残ります。
売り手へ: 上昇市区の売り手はこの数年の含み益を得ていますが、この上昇が今後も続く保証はどこにもありません。「もっと上がるかもしれないから待つ」は投資判断であって、住まいの判断としては売り時の3基準(ライフイベント・税制・資金need)で決めるほうが後悔が残りにくいと考えます。
まとめ
- 38市区中29市区が上昇。ただし一様ではなく二極化
- 単年の急騰・急落は築年構成の偏りを疑う。傾向は複数年で読む
- 買い手は上昇率と割安の関係を、売り手は「待つ」が投資判断であることを意識する
自分の市区の年次推移はエリアページのグラフで確認できます。
集計対象: 埼玉県38市区・2021年以降の成約価格情報(中古マンション等)。2026年は部分データのため変化率の計算から除外しています。集計方法は各エリアページに記載しています。
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