中古マンションを検討していると、不動産会社から提示された価格が高いのか安いのか、自分では判断がつかないことがあります。「値引き交渉の余地はあるのか」「この価格で決めていいのか」を、相場観がないまま判断するのは不安なものです。
なぜ売出価格だけでは分からないか
不動産ポータルサイトに載っている価格は、あくまで売主が希望する売出価格です。実際に取引が成立した価格(成約価格)とは別物で、同じエリア・似た条件の物件でも、売出価格と成約価格には差があります。
この差を確認する手段を持たないまま、目の前の1件の売出価格だけを見て判断すると、相場より高い水準で決めてしまっても気づけません。
一次情報としての国交省データ
国土交通省が運営する不動産情報ライブラリでは、実際に成立した不動産取引の価格情報が公開されています。個々の物件は特定できない形に加工されていますが、地域・築年帯ごとの実際の成約価格を確認できます。
不動産会社が出す査定額や売出価格の裏付けとしても、この一次情報は有効です。
実際の見方:さいたま市南浦和の例
さいたま市南浦和エリアの中古マンション、直近5年間(87件)の成約データを築年帯別に集計すると、次のようになります。
築年が古いほど㎡単価が下がる傾向がはっきり出ており、新築・築浅と築31年以上とでは水準が大きく異なります。同じ「南浦和」でも築年帯を揃えて比較しないと、正しい判断はできません。
| 築年帯 | サンプル数 | ㎡単価の中央値 |
|---|---|---|
| 0-10年 | 41件 | ¥773,333 |
| 11-20年 | 10件 | ¥754,545 |
| 21-30年 | 24件 | ¥542,063 |
| 31年以上 | 12件 | ¥275,000 |
例えば築21〜30年の物件で、専有面積60㎡・提示価格3,250万円なら㎡単価は約54.2万円です。上の表の同築年帯の中央値と近い水準であれば、南浦和エリアの相場から大きく外れていないと判断できます。逆に大きく上回っていれば、その理由(駅からの近さ、リノベーション済みかどうか等)を確認する材料になります。
相場は上がっているか、下がっているか
築年帯による違いとは別に、エリア全体の相場が時期によってどう動いてきたかも判断材料になります。築年帯を問わず、南浦和エリア全体の成約㎡単価を取引年ごとに並べると、次のようになります。
2021年 66.2万円 → 2025年 64.3万円(-2.8%)
2026年はサンプル不足のため未集計(4件)
単純な右肩上がり・右肩下がりではなく、途中で上昇と反落を繰り返しています。これは南浦和に限らず、地区単位の年次データはサンプル数が限られる分、単年の振れ幅が出やすいためです。
例えば2024年が突出しているのは、年間の取引が10件と少なかった上に、築31年超の低価格帯の取引がたまたま1件も無かったためです(他の年は毎年2〜3件含まれています)。価格そのものが年内で急騰したというより、中央値を押し下げる築古物件が一時的に母集団から抜けたことで、見かけ上の中央値が押し上げられたと見るのが実態に近い数字です。「今年は高かった/安かった」を1年分だけで判断せず、複数年の推移として見るようにしてください。
築年帯による下落(新築帯と築古帯の差)と、この年次の値動きは別の軸です。同じ「下落」でも意味が違う点に注意してください。
自分で確認する3ステップ
- 気になる物件のエリアと築年を確認する(提示された物件情報に記載があります)
- 本サイトのエリア別成約相場で、該当する市区のページを開く(築年帯別・地区別の中央値を掲載しています。南浦和を含むさいたま市南区はこちら)。国土交通省の不動産情報ライブラリで直接検索することもできます
- 提示価格を面積で割って㎡単価を出し、同エリア・同築年帯の水準と比較する
比較した結果が「相場通り」だとしても、それだけで即決してよいという意味ではありません。管理費・修繕積立金の水準や、リフォームの必要性など、価格以外に確認すべき点は別にあります。あくまで「価格が相場からどれくらい離れているか」を判断する材料として使ってください。
関連
- エリア別の中古マンション成約相場(さいたま市・川口市など市区ごとの築年帯別データ)
- マンション売却の手取り計算方法(売る側から相場を見る場合)
- フラット35金利の推移(購入側の金利動向)
- 出口設計シミュレーターで、購入後の将来売却を含めた試算ができます
更新履歴
- 2026-08-04: 初稿公開(さいたま市南区・南浦和の実成約データを反映)
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